子どもの頃、小学校は自宅から非常に近く、徒歩5分圏内だった。そのため通学に対して特別な感情を持つこともなく、移動そのものを意識する機会も少なかった。
しかし中学校への進学によって状況は一変する。片道30分以上を歩いて通うという生活が始まり、当初はその距離が非常に長く感じられた。
現在であれば、ウォーキングは有酸素運動の一種であり、健康維持や体力向上に役立つことを知識として理解している。
また精神的にもリフレッシュ効果があるとされている。しかし当時の自分にはそうした知識なく、単に「学校が遠すぎる」「毎日往復で1時間も時間を失っている」という感覚しかなかった。
交通手段が自転車であれば状況も変わったのかもしれないが、当時の通学路は自転車通学の許可がもらえる距離を満たしておらず、その結果、毎朝「ただ歩くだけの無駄な時間」を過ごしているように感じていたのを覚えている。今となっては、その感覚すらも笑い話の一つだが、当時の自分にとっては真剣な不満だった。
大人になった今、意識的に歩く時間を確保しようとする自分と、当時の自分との間にある価値観の違いは興味深い。知識や経験が行動の意味づけを大きく変える一例だと実感している。