先ほど通販サイトで新刊を見ていたところ、赤川次郎氏の『白い夜のセレナーデ 杉原爽香53歳の冬』の予約が始まっていた。
そのタイトルを見た瞬間、学生時代のことを思い出した。
なぜなら私が初めて読んだ大人向けの文庫本小説は、赤川次郎氏の作品だったから。
当時は漫画ばかり読んでいたが、「文庫本も読んでみよう」と何となく手に取った一冊がきっかけだった。それまで小説は少し難しいものという印象があったが、しかし、ページをめくる手が止まらず、一晩で読み終えてしまったことを今でも覚えている。
読み終えたあと、本を閉じて「小説ってこんなに面白かったのか」と素直に驚いた。
それ以来、ミステリ小説を読むことは生活の一部になった。
通勤前に数ページ、休日にはお気に入りの喫茶店でじっくり読む。そんな時間を何年も積み重ねてきた。気がつけば、本棚には文庫本が何十冊も並んでいる。以前、一冊買ったつもりが同じ作品をもう一度購入してしまったことがある。本棚を整理していて同じ背表紙が並んでいるのを見つけ、「これは完全にやってしまった」と少し反省。
ただそれでも手放そうとは思わなかった。本には、そのとき読んでいた自分の記憶まで残っているからだ。
赤川次郎氏の作品は、読みやすさとミステリとしての面白さを高い次元で両立している。それが長年多くの読者に支持され続ける理由だと断言できる。
今回の『白い夜のセレナーデ 杉原爽香53歳の冬』も、シリーズを追い続けている読者はもちろん、赤川次郎作品に興味がある方にも注目の一冊になりそうだ。発売日を楽しみに待ちながら、久しぶりに昔読んだ作品を読み返してみるのも悪くないと思っている。